HOME > Metis とは

img324[1].jpgMetis(メーティス)とはギリシャ神話に語れている「英智の女神」を意味します。 日頃、ビジネスの色々なシチュエーションの中で、皆様が最高のパフォーマンスを発揮する状況を袖元から英智の女神が微笑み湛えながら支えます。 是非、勝負カフリンス(カフス)として、また、日頃のさり気無いお洒落として、ビジネス・シーンのみならずカジュアルの時にもご愛顧頂けましたら幸甚です。

<ストーリー>
大洋神オケアノス・テテュス夫妻から生まれた3000人のオケアニス(海の神々)たちの1人であるメーティス。 彼女は自在の変身能力を持つ水の女神であると同時に、「あらゆる神と人のうちで最も物知りな者」と讃えられる知恵の女神でもありました。
  オケアニスたちの中では姉のステュクスと並んで最もアクティブな活躍を見せています。 何といっても有名なのは、父神クロノスの打倒を志した青年ゼウスの最初の協力者となって、自から強力催吐薬を作り、クロノスの杯に一服盛って、彼の腹中に呑み込まれていたゼウスの兄姉たちを全員無事な姿で吐き出させるという大手柄を立てたことです。
  さらに彼女は、「クロノスはいずれ我が子に倒されるであろう」というウラノスとガイアの予言を信じて血を分けたティタン神族を捨て、若き神々の味方について10年にも及ぶティタノマキアの激闘を戦い抜いたのです。

(夫と一体化した妻)
  その多大な貢献に報いるという意味もあってか、戦がオリュンポス側の勝利に終わった後、メーティスは新たな神々の王となったゼウスの妃に選ばれました。 彼女はただ賢いばかりでなく優れた美貌の持ち主でもありましたから(オケアニスは美女揃いで有名です)、ゼウスは大いに彼女を愛し、やがて初子となるアテナをその腹に宿らせました。
  しかしながら身籠もりを喜んだのも束の間、ウラノスとガイアの二神がまたしても不吉な予言をゼウスに下します。
「メーティスは2人の子を生む運命を持っている。今懐妊中の1人目の子は父の強い気性と母の叡智を兼ね備えた大変優秀な女神だ。 だが、次に身籠もる2人目の子は傲慢で強力な息子で、力に任せて父であるおまえを王座から追い落とすであろう」
  これを聞いたゼウスは肝を潰しました。父が息子に追い落とされるというのは祖父ウラノスと父クロノス、さらに父クロノスと自分自身との間で繰り返されてきた悲劇です。今まで散々骨肉相食む哀しみを味わってきたというのに、この上自分まで負の連鎖の餌食となるわけにはいきません。

  断じて阻止せねばならぬ、と強烈な危機感を抱いたゼウスは、メーティスに絶対に宿命の子を生ませないようにするため、何と身籠もっていた娘もろとも彼女を呑み込んでしまいました。 (大の大人をどうやって呑み込んだのかは謎ですが、おそらくメーティスの変身能力を利用して言葉巧みに水に化けさせ、間髪入れずに飲み干したのだろうとする推測が最も自然なように思われます)

  自分の腹の中に閉じ込めてしまえば、いかに愛する妻であろうとも共寝することは100%なくなり、2番目の子が生まれる確率はゼロになります。 「妻をそのままにして生まれた子供だけを何とかする」というやり方もありますが、それは既に父クロノスのときに破綻しています。やはり諸悪の根源は元から断たなければ駄目なのです。
  一見、無茶苦茶な所業に思われたゼウスのこの行為は、結果的には史上稀に見る英断となりました。 これによって予言された失脚を完全に回避し得た上、メーティスの持つ膨大な知識と深い思慮をもそっくり我が身に取り込むことが出来たからです。

  不死の女神でもあるメーティスはゼウスの体内に取り込まれてからも変わらず生き続け、事あるごとに「○○するのは大変有益で善いことです」「△△は悪い結果に終わりますから避けるべきです」と的確な助言を行ってゼウスの治世を正しい方向に導きました。 術策に富んだ彼女のことですから、もし呑み込まれたのが不本意であったならば如何なる手を使ってでも脱出したことでしょうが、そうしなかったところを見るとこの環境も彼女にとってはまんざらでもなかったのでしょう。 身籠もったままだった娘のアテナを自分の分身として外界に送り出した後は、文字通りの「内助の功」で愛する夫を支え続けました。 始終夫の浮気に悩まされているヘーラー(ギリシャ神話に登場する最高位の女神)と違って常に永遠の一体感を享受できるのだと考えると、こういう夫婦の形もありなのかもしれません。